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2008年02月21日 意見書 厚生労働省医薬食品局総務課 審議参加と寄付金等に関する基準策定ワーキンググループ御中「審議参加と寄附金等に関する基準(案)」に対する意見書
厚生労働省医薬食品局総務課 御中
審議参加と寄付金等に関する基準策定ワーキンググループ御中
「審議参加と寄附金等に関する基準(案)」に対する意見書
2008年2月21日
薬害タミフル脳症被害者の会
秦野竜子
政府の審議会などへの研究者の審議参加と研究者の製薬企業等からの寄付金の関係(研究者の利益相反問題)に関する基準等の策定に関し、2007年12月16日付けで意見書を提出しましたが、2008年1月22日付で申し合わせ(案)(以下、1月22日案)が示され、パブリックコメントの募集がありました。
2007年12月3日案(以下、12月3日案)で「審議参加の基準」の対象外とされた「奨学寄付金」が、1月22日案では「寄附金」のなかに含まれ、再び「審議参加の基準」の対象とされたことは、評価できるといえます。
12月3日案では、奨学寄附金以外の寄付金や研究費が年間300万円以下であれば審議には参加できるとされていたことに対して、当会として、世間一般の常識からいって、高額すぎる、と指摘いたしました。
ところが、1月22日案では、「審議参加の基準」の対象として、奨学寄付金(寄付金)を含め、「寄附金・契約金等の個別企業からの受取額が年度あたり500万円を超える年度がある場合」とされました。
世間一般の常識からいって、高額すぎるとしてきた300万円よりもさらに高額の500万円を基準額としたことは、まったく理解に苦しみます。
そもそも、この問題が重視されるようになった発端は、タミフル(リン酸オセルタミビル)による副作用の有無について調査し「関連は認められない」との趣旨の調査結果を報告した厚生労働省の「インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究」の主任研究者横田俊平横浜市立大学教授が、タミフルの輸入販売である中外製薬から6年間で1000万円にのぼる多額の奨学寄附金を受け取っていたことが明るみになり、研究の中立性と公正さに対する疑問が社会的に指摘されたことにあります。
報道等によれば、横田教授が中外製薬から受け取っていた金額は、2001〜2006年度までの6年間に計1000万円、最も多い年でも250万円でした。1月22日案の「審議参加の基準」500万円はもとより、12月3日案の300万円でも基準には抵触しないことになります。
しかし、6年間で1000万円にのぼるこの額は、社会通念上、調査研究の公正さに疑問が持たれる額であると思われたからこそ、人々の関心を集め議論になったのではないでしょうか。
当時の柳澤厚生労働大臣も国会で「いずれの薬剤でありましても、本当に国民の健康、安全に直結する問題でありますから、・・利害関係が判断をゆがめるような、そうした事態というのはもう断固避けなければならない。」(2007年3月22日参議院、厚生労働委員会)、「見直しを行う機関について、寄附をいただいている先生がいたけれどもこれはどうするかということでございますが、これは、当然除外をして、新しい体制の機関にいたしまして、そして、いささかも公正性において疑われるようなことのない体制を構築して、この見直しに当たらせたい」(同年3月23日衆議院、厚生労働委員会)と発言されました。
その結果、横田俊平教授は研究班のメンバーから除外され、利益相反問題に関する検討が開始されました。なお、この問題は、厚生労働科学研究の研究班の問題であり、医薬品審査が対象ではありませんでしたが、(奨学)寄附金等企業からの資金提供が医薬品評価の公正さを歪める可能性があることに違いはありません。むしろ、医薬品の審査の場合には、より厳格な基準が求められていると考えるべきです。
したがって、薬害タミフル脳症被害者の会としては、1月22日案は、到底納得することはできません。
いわゆる、奨学寄附金を含め、寄附金・契約金等が、申告期間中いずれも1年度あたり50万円を超える場合には、議決はもちろんのこと、審議にも参加できない、とすべきと考えます。
なお、申告期間は当該年度と、その前の2年間の合計3年間とされていますが、短すぎます。過去10年間にさかのぼり申告すべきと考えます。
また、申告金額について、50万円以下、50万円超500万円以下、500万円超といった、大まかなくくりではなく、具体的な額の記入を義務付けるべきと考えます。