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2008年02月14日 タミフルと突然死・異常行動との因果関係を早急に認め、適切な対処を求める要望書
厚生労働大臣 舛添 要一 様
2008年2月14日
薬害タミフル脳症被害者の会
代 表 秦野 竜子
代理 軒端 晴彦
タミフルと突然死・異常行動との因果関係を早急に認め、
適切な対処を求める要望書
私たちは、タミフルによって子どもが死亡するなどの害を被った家族として、タミフルと死亡などとの因果関係を認めて被害者およびその家族が救済されるよう、そして同じ被害をこれ以上出さないための安全対策を、会の発足以来、繰り返し、繰り返し、切実に、要望してまいりました。
しかし、厚生労働省は何ら手を打つことなく2007年冬のインフルエンザシーズンを迎え、2006年7月に起きた沖縄県の男子中学生の転落死に続き、2007年2月16日には愛知県蒲郡市でタミフルを服用した中学2年の女子生徒が自宅マンション10階から転落死しました。さらにわずか10日後の2月27日には、宮城県仙台市で男子中学生がタミフル服用後にやはり転落死しました。
NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)の調べでは、すでに死亡者数は合計84人、うち、異常行動後の『事故死』は8人ですが、突然死は52人に上るとのことです。
貴省では、2007年3月21日には因果関係を「否定的」としたまま、「10歳代へのタミフル使用を原則禁忌」とし、その直後の22日には、因果関係の見直しを約束されましたが、相変わらず因果関係を認めないままでした。
その直後の3月23日、インフルエンザと診断されタミフルを服用した44歳の男性が「暴れたらタミフルのせいだからね」と言って午後8時ころ就寝し、翌朝には死亡していました。52人もの突然死が起きているにもかかわらず厚生労働省は突然死との因果関係もいまだに認めておられませんし、『突然死』について、添付文書に警告はもちろん、副作用の可能性についてすら一言も触れておられません。
本年1月15日、薬害C型肝炎の和解基本合意書調印式において、貴殿は、「薬害は二度とあってはなりません」「医薬品行政の見直しに取り組み、再発防止に向けた具体策を検討してまいります」と明言されました。
まず、何よりも申し上げたいことは、薬害の再発防止、医薬品行政の見直しは、「タミフル」によるこの薬害の見直しなしにはありえないということです。タミフル薬害の早期解決ができなくて、薬害の再発防止はあり得ず、薬害は必ず繰り返されていくでしょう。
それどころか、因果関係を全く認めていない現状では、薬害は拡大し、進行することは間違いありません。本年もまだタミフルが使用されているため、日本のどこかで、タミフルによる突然死や異常行動で尊い命が奪われているのではないかと心配いたします。
さる2007年12月25日、平成19年度第5回安全対策調査会において、平成19年度厚生労働科学研究「インフルエンザ随伴症状の発現状況に関する調査研究」(「廣田班」調査)の第一次予備解析(以下「予備解析」)の結果が公表されました。その結果は、驚くべきことに、タミフルを服用したほうがタミフルを服用しない場合より異常行動が半分以下というものでした。因果関係を否定するような調査結果であったにも関わらず、貴省では、これまでの10歳代原則禁止の措置を継続されました。これは半ば「廣田班」調査の欠陥を認めておられるからではないでしょうか。
NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)において検討された結果、廣田班の解析方法は間違いであり、適切な解析では、タミフル処方で、全年齢では異常行動が1.37倍増加、重症異常行動は1.7倍増加、10歳未満でも異常行動が1.28倍増加する、との結果が得られたとのことです。
私たち素人の目からみても、廣田班の集計方法は、公平な比較になっていないため、おかしいと思います。適切な、公平な解析を望むとともに、適切な解析でタミフル処方と異常行動との関連が全年齢並びに10歳未満でも認められたことを重く見て、適切な対策を望みます。
また、2008年2月7日、タミフル服用後に異常行動死した岐阜県の男子高校生=当時(17)=の遺族が、タミフルの副作用を否定する判定をした厚生労働省所管の独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」(機構)に慰謝料100万円の支払いを求めた訴訟の第1回目の弁論で、機構側は、救済制度が「健康被害の防止を直接の目的としたものではない」と主張されました。
しかし、医薬品被害救済制度はスモン薬害問題を受けて設立されたものであり、薬剤との因果関係を認めて早期に救済することで、副作用被害・薬害の防止につながることは明らかです。機構が本来認めるべき因果関係を認めないことが、どれほど薬害の拡大につながっているかを考えていただければ、認めるべき因果関係を認めたうえで被害救済を行うことは副作用被害、薬害の防止につながるものであることがご理解いただけると思います。
また、機構は、副作用情報を収集しています。副作用情報の収集は、まさしく副作用被害、薬害の防止を目的としたものではないでしょうか。したがって、副作用被害救済制度とともに、機構は、副作用被害の防止のために存在する組織であり、副作用による健康被害の救済だけにとどまらないのは明らかです。
すでに厚生労働省も実質的に認めておられるとおり、タミフルは異常行動など精神神経系の副作用を起こしうる薬剤です。NPO法人医薬ビジランスセンターが詳しく分析・検討されているように、突然死ならびに異常行動の結果の事故死について、因果関係はもはや疑いないものと考えます。
タミフルと異常行動、異常行動による事故死、ならびに睡眠中の突然死などとの因果関係を速やかに認め、下記のことを速やかに実施されますよう、強く、切に要望いたします。
私たちはずっと同じことを要望しております。なぜなら、実現されないからです。今度こそ、今冬のインフルエンザシーズンで再び被害者が出ることのないよう、強く要望いたします。
記
1. 廣田班の調査結果をはじめ、基礎、臨床ならびに疫学調査を、正しく解析し直すこと。
2.異常行動、異常行動による事故死、ならびに睡眠中の突然死などとの因果関係を認めること
3.タミフル使用後の異常行動や異常行動による事故死例はタミフルによる可能性が強いことを、緊急情報として医療関係者ならびに国民にあまねく確実に警告すること
4.タミフルの添付文書を早急に改め、上記2を「警告」欄に記載すること
5.2006年7月に医薬品医療機器総合機構が不支給等の決定を行ったタミフル服用後の死亡例に関して、その因果関係を認め、不支給決定を速やかに撤回すること
6.現在申請されている医薬品副作用被害救済に申請されているタミフル服用後の死亡例など副作用被害例に関して、その因果関係を認め、速やかに支給の決定をすること
以上