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2010年01月15日 新型インフル検査、6時間から15分に 新キット開発
佐賀県鳥栖市藤木町の薬品メーカー「ミズホメディー」(唐川文成社長)と国立国際医療センター(東京)が、新型インフルエンザに感染しているかどうかを15分で判定できる簡易検査キットを共同開発した。現状の遺伝子検査は6時間程度かかるうえ、機材が高価で検査機関も少ないが、開発したキットは費用を抑えることで病院で手軽に判定できることになる。実用化されれば世界初の新型インフル判定簡易キットで、現在、製品化への臨床試験が行われている。
開発したキットは、患者の鼻やのどから綿棒などで採取した粘膜表皮を専用の水溶液に浸し、キットのプレートに垂らす。陽性の場合は赤紫色の線が浮き出る。ミズホメディーが製品化している季節性インフルの簡易検査キットの仕組みを応用した。
新型インフル判定の現状は、季節性インフルを判定する簡易検査キットを使ってA型かB型を判定。新型インフルが含まれるA型になると症状や状況などを勘案して新型と〓みなし〓判定している。正確に判定するには遺伝子検査が必要だが、佐賀県でも検査機関が一つしかないなど、時間とコストが課題だった。国際医療センターが、インフル検査キット製造のノウハウを持つミズホメディーに共同開発を要請した。
研究では、新型と季節性のウイルスの構造を詳しく分析し、「核たんぱく」といわれる成分に違いがあることを発見した。新型の核たんぱくだけに反応する抗体を作ることで開発できた。成分、製造に関する特許を申請している。
キットはセンターで臨床試験中で、遺伝子検査の精度にどれだけ近づけるか調べている。ミズホメディーは国に体外診断用医薬品として近く申請し、認可を受け次第、製品化する予定。
同センターは「新型特定に時間がかからない上、遺伝子検査よりはるかに検査費を抑えることができそう。検査結果が病院ですぐ分かれば、症状に応じた投薬がスピーディーにできる」と期待。ミズホメディーは「子どもや持病のある人の重症化も防げるのではないか。ワクチン接種の判断材料にもなる」とキットの有効性を説明する。