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2009年12月22日 国産新薬、強毒インフルに有効 動物実験で確認 東大研
人の感染で6割近くという高い致死率を示す高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)に対して、国産の新しいインフル薬は死亡を防ぐ効果の高いことが、東京大医科学研究所の河岡義裕教授らによる動物実験でわかった。今週の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表する。
この薬は、富山化学工業(東京都)が開発したT―705。新型の豚インフルや季節性インフルへの効果についても、臨床試験の最終段階に入っている。
研究チームの木曽真紀研究員らは、H5N1を感染させたマウスに、T―705を投与、21日間観察した。感染1時間後から薬を毎日2回、8日間投与(1日に体重1キロにつき300ミリグラム)した場合、10匹のマウス全部が生き残った。比較のために、広く使われているインフル薬タミフルでもマウスの実験をした。こちらは生き残ったのは5割だった。
タミフルが効きにくい耐性ウイルスを感染させたマウスの場合、T―705投与では全部、生き残った。これに対し、タミフル投与では10日目までに全部死亡した。
インフル薬のタミフルやリレンザは人の細胞内で増殖したウイルスが外に出るのに必要なたんぱく質の働きを邪魔する。一方、T―705はウイルス増殖に欠かせない酵素の働きを阻害する。季節性インフルでタミフル耐性ウイルスが増えており、仕組みが違うT―705は治療の選択肢を広げると期待されている。(大岩ゆり)2009年12月22日5時1分