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2009年11月01日 新型インフル 脳症 7歳最多10人 感染研調査3カ月で患者50人に
「新型インフル脳症50人」7〜10月、7歳が最多10人」
新型インフルエンザに感染し、インフルエンザ脳症を発症した患者が7月からの3ヶ月間に計50人に上がったことが、国立感染症研究所の調査でわかった。最も多かった年齢は7歳。5歳以下に多い季節性インフルエンザに比べて年齢が高く、感染研は注意を促している。
調べたのは7月6日〜10月11日に16都道府県から報告された脳症。年齢は1歳〜43歳で、最も多かった7歳児は10人だった。感染研は、症例を報告した医療機関に調査票を送り、回答を寄せた20症例をさらに詳しく分析した。その結果、全員に意識障害がみられ、11人に熱性けいれんや気管支ぜんそくなどの基礎疾患(持病)や既往症があった。このうち15人は回復したが、1人が死亡。3人に精神神経障害、まひなどの後遺症が確認された(1人は無回答)。全員がインフルエンザ治療薬を服用しており、発熱当日が3人、1日後が12人、2日後が3人と、治療薬の効果があるとされる発症48時間以内の投与が大半だった。読売新聞
■ インフルエンザ脳症は、ウイルスが脳に侵入しているわけではない。体内で増えたウイルスに免疫が過剰反応して脳が腫れ、意識障害を引き起こすと考えられている。
厚生労働省インフルエンザ脳症研究班代表の森島恒雄岡山大教授によると、致死率は8〜9%で、25%に精神神経障害などの後遺症が出る。
感染研によると、患者は1〜15歳の計49人と40代の1人で、40代の患者は脳症でない可能性もある。20人を詳しく調べたところ、発熱の当日か翌日には大半が意識障害を起こしていた。持病か既往症があったのは20人のうち11人で、6人が熱性けいれん、5人が気管支ぜんそくだった。
感染研の安井良則主任研究官は「理由はよく分からないが、ぜんそくのある子は注意が必要だ」と話す。
高年齢の子供の発症について、森島教授は「過去に感染したことのないウイルスだからではないか。新型は肺炎を起こしやすく、ウイルス量が増えやすいために、免疫が過剰反応しているとも考えられる」と分析する。
森島教授は、早期に専門的な治療を受ければ、多くが回復すると話す。日本小児科学会は(1)呼び掛けに答えないなど、意識レベルの低下(2)けいれんが30分以上続く(3)意味不明の言動〓の症状は、脳症の疑いがあるとして受診を呼び掛けている。
ワクチンについて、森島教授は「接種により脳症を避けられるというデータはないが、インフルエンザ感染の確率を約30%下げるという研究結果はある。感染しなければ脳症にならずに済む」とした。
厚労省への報告によると、これまでに新型インフルエンザによる脳症で5人が死亡した。10月31日15時26分配信