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2009年08月19日 インフル感染、大阪・奈良で急増 死者いずれも透析患者
沖縄県で国内初の新型インフルエンザによる死者が出てから3日後の18日、神戸市で2例目の死亡が確認された。2人とも腎不全などを患い、人工透析を受けていた。インフルエンザの感染者は全国で急増しており、厚生労働省は「基礎疾患があると重症化することがある」と注意を呼びかけている。
国立感染症研究所感染症情報センターが18日に発表した調査結果では、3〜9日の1週間に全国約5千の医療機関で4630人がインフルエンザに感染した。1施設あたりの患者数は0.99人で5週連続の増加。「流行開始」の目安「1人」に迫る。都道府県別にみると、沖縄県が20.36人と突出し、これに奈良県(1.85人)、大阪府(1.80人)と続く。
季節性インフルと併せての報告数だが、この時期の報告は例年は少なく、多くは新型インフルとみられる。センターは、この1週間で全国の医療機関を受診した患者数を約6万人と推計している。
沖縄と神戸の死亡例がいずれも人工透析患者だったことを受け、日本透析医学会は地震時などに運用する災害ネットワークシステムを利用して2例の緊急速報を流した。同学会感染調査小委員会の内藤秀宗委員は「2例は、いずれも発症から死亡までの期間が短い。感染防止にはタミフルの予防投与が効果的だが、乱用すれば耐性ウイルスが生まれる可能性も高まる」と苦慮している。
京都大学医学部付属病院腎臓内科の深津敦司科長は、透析施設内での感染の広がりを心配する。透析患者に対し、「免疫力が落ちて感染しやすくなっていると自覚し、うがいや手洗いを心がけてほしい。人ごみは避け、発熱があったらただちに受診を」と呼びかけている。
2009年8月19日朝日新聞