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2009年07月22日 新型インフル:全数把握を中止 集団感染時のみ遺伝子検査
厚生労働省は22日、感染症法施行規則を改正し、5月の国内発生以来続けてきた新型インフルエンザ患者の全数把握を中止することを決めた。大流行の恐れがある秋以降、新型なのか従来の季節性インフルエンザなのか確定する遺伝子検査の作業が追い付かなくなることが予想されるほか、どちらも治療法に大差がなく、確定診断そのものの必要性も低いため。24日からは、学校などで集団感染が起きた場合の一部についてのみ報告を求める。
厚労省によると、22日午前11時現在、都道府県などから報告があった国内の新型インフルエンザ患者は4433人。秋以降に大流行した場合、数千万人の感染の恐れがあるとされる。既に米国や英国など多くの発生国は患者の全数把握をしていない。
新たな方針は、集団感染の早期発見に力点を置き、学校や職場など10人以上の集団で1週間に2人以上の疑い例が出た場合に限り、医療機関から保健所への連絡を求める。都道府県や政令市は原則的に最初の1例だけを遺伝子検査し、新型と確定すれば国に報告。それ以降は「疑い例」として届け出て、重症化したケースを除き遺伝子検査はしない。
一方、ウイルスの毒性変化を監視するため、国内約500カ所の定点医療機関に限り、症状のある全患者の検体を採取し、集団感染でなくても遺伝子検査に回す。厚労省は「大流行して集団発生の把握も難しくなれば、定点での把握だけにするなど、さらに態勢を見直す」としている。
季節性の場合は、全国約5000カ所の医療機関のみ、患者数を国に報告している。