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2009年05月18日 新型インフルエンザ:初の国内感染 「どこから」 予想の範囲超え〓〓神戸

 ◇戸惑い、緊張走る
 海外渡航歴のない高校生が新型インフルエンザに感染していたことがわかった神戸市は、周辺の公立校を1週間全面休校させるほか、イベントの中止などを決めた。生徒の通う高校では「どこから感染したのか」と戸惑いと不安が広がった。対応に追われる市対策本部には「考えられるだけの手を打ちたい」と緊張が走った。

 ■高校

 感染が確認された男子生徒(17)が通う県立神戸高校では、校長(57)が16日未明に2回、正面玄関で取材に応じ、「打たなければならない手は打っていたが、予想の範囲を超えていた」と苦渋の表情を見せた。他に同校の2年生男女1人ずつにも感染の疑いがあることが判明し、「学校として把握していなかった。3人に最近の渡航歴はなく、どこから感染したのか」と戸惑いを隠せなかった。

 校長によると、今月に入ってインフルエンザの症状を見せる生徒が出始めた。感染した生徒は11日午前、倦怠(けんたい)感などを訴えて早退し、翌12日も発熱が確認されたため午前中に帰宅させた。15日までに、この3人を含む計12人が医療機関でインフルエンザの診断を受けたという。

 同校ではインフルエンザの症状を訴える生徒が相次いだことから、13日から1時間目の始業前に体調管理や事前の予防を目的とした「健康観察」を実施。発熱やせき、倦怠感などがあれば生徒が自己申告し、保健室で早退などを指示していた。県や神戸市にも状況を報告したという。

 生徒の保護者には16日午前5時から教職員が電話で連絡を取り、外出を控えることや部活動や対外試合の取りやめなどを指示。午後1時からは全教職員を集め職員会議を開いて今後の対応を検討する。【近藤諭、吉川雄策】

 ■神戸市

 「まったくの想定外」。神戸市は16日未明、午前1時過ぎと午前4時に相次いで市役所内で記者会見を開いた。桜井誠一・市保健福祉局長は渡航歴のない高校生に感染の疑いが出たことに驚きを隠さなかった。午前1時すぎの会見では、男子生徒について「神戸市在住の10代後半男性で、渡航歴はない」などと説明。検体は12日に到着し、15日に検査した結果、新型インフルエンザが否定できない可能性があり、厚生労働省に連絡したという。「15日時点でせきがあり、体温は36度台」と話した。

 午前4時からの会見で、市は、同じ高校で他に2人の生徒も感染の疑いがあることも明らかにした。記者から「どれくらいの生徒と接触しているのか」「生徒の通学路は把握しているか」などと矢継ぎ早に質問が飛んだ。桜井局長らは「感染の疑いは強い」としながらも、感染ルートなどについては「現在、関係者から聞き取り中」「わからない」などと、歯切れの悪い答えを繰り返した。

 感染が確定した男子生徒は海外に行った経験はない。桜井局長はその点について「予想できなかった。いつの間にか国内に入り込んでいたのかもしれない」と顔をこわばらせ、「感染はさらに広がっているかもしれない」と懸念した。そして「症状が出ればすぐに発熱外来を訪れてもらうしかない」と強調した。【米山淳、高山梓】

 ■イベント中止

 17日の神戸まつりパレードに出場する予定だった「神戸サンバチーム」のパーカッションリーダー、西内俊介さん(34)=神戸市灘区=は、「神戸サンバチームが結成40周年を迎え、メンバーも一生懸命練習していた。中止を伝えると落ち込んでいた」と話している。同チームの浅倉夕紀子さん(26)=同市須磨区=は「神戸まつりは、1年で最も楽しみにしている日。15日に新しい衣装をメンバーに配り、がんばろうと声をかけあった。状況を考えれば仕方ないが、中止ではなく延期なども考えてほしい」と話していた。【大金紗知子】

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 ◇男子生徒らの行動
 8日 神戸市内の県立高校3年の男子生徒Aが所属するバレーボール部でインフルエンザがはやり、1人が休む

 9日 同部で2人が休む

11日 生徒Aが悪寒を訴える

12日 登校後に37.4度の発熱。簡易検査でA型インフルエンザと判明し、学校を休んで治療開始。主治医が保健所に連絡

15日 同校2年の生徒Bが37.4度の発熱。学校を早退しA型と判明。夕方39.7度の発熱、治療開始。生徒Aはせきがあるがほぼ回復。神戸市環境保健研究所の検査で新型の結果。午後11時ごろに厚生労働省に連絡

16日 未明に生徒3人が入院。生徒Bも同研究所の検査で新型感染の結果。検体を国立感染症研究所に運び最終確認の検査

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 ◇新型インフルエンザをめぐる動き
4月23日 メキシコ政府が新型インフルエンザ流行を緊急発表

4月24日 世界保健機関(WHO)が米国とメキシコの感染疑い例発生を明らかに。米疾病対策センター(CDC)も感染を断定

4月25日 WHOが緊急委員会を電話開催。「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と声明

4月26日 カナダで感染確認。麻生太郎首相が「水際対策」指示。国内でメキシコ渡航自粛広がる

4月27日 WHOがフェーズ4へ警戒レベル引き上げ。日本政府は新型インフルエンザ発生を宣言し、対策本部設置。スペインと英国でも感染確認

4月28日 日本国内3空港で北米便対象に機内検疫開始

4月29日 CDCが米国内初の死者を明らかに。メキシコに続き2カ国目。WHOが警戒レベルをフェーズ5に

5月 1日 香港でメキシコ人の感染確認。アジア初の感染者

5月 2日 韓国でアジア在住者初の感染確認

5月 5日 世界各地の感染者数が22カ国・地域で1500人を突破(死者数を含む)

5月 8日 中曽根弘文外相が米シカゴ在住の日本人男児(6)が新型感染と発表。日本人初の感染例

5月 9日 政府がカナダから帰国した教員1人と高校生2人の感染を確認。翌10日、さらに高校生1人の感染確認

5月16日 政府が海外渡航歴がない神戸市の男子高校生の感染を確認

 ※日付はいずれも現地時間

毎日新聞 2009年5月16日 東京夕刊

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