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2009年10月27日 要望書 厚生労働大臣 長妻 昭 様
厚生労働大臣 長妻 昭 様
2009年10月27日
薬害タミフル脳症被害者の会
代 表 秦野 竜子
タミフル(リン酸オセルタミフルビル)と突然死・異常行動との
因果関係を認め、被害者全員の救済、
新たな被害者の発見と救済を求める
要望書
主な要望事項
1.タミフル(リン酸オセルタミフルビル)と突然死・異常行動との因果関係を認めること
2.そのうえで、タミフル服用後に突然死、あるいは異常行動により事故死、あるいは致死的な副作用を被り場合によっては重度の障害を残した被害者および遺族全員の救済をすること
3.今期のいわゆる「新型インフルエンザ」経過中に死亡あるいは重症化された中にタミフルが原因と見られる被害者が多数に上るため、それら被害者を発見し、連絡し、被害救済をすること
繰り返し要望してきましたが、被害は拡大するばかりです
私たちは、タミフルによって子どもや夫が死亡あるいは重度の障害が残る、致死的な状態に陥るなどの害を被った家族として、タミフルと死亡などとの因果関係を認めて被害者およびその家族が救済されるよう、そして同じ被害をこれ以上出さないための安全対策を、会の発足以来、繰り返し、繰り返し、切実に、要望してまいりました(末尾にこれまでの要望書のリストを掲載いたします)。
しかし、先の政権下では、厚生労働省は何ら手を打つことなく2007年冬のインフルエンザシーズンを迎え、2006年7月に起きた沖縄県の男子中学生の転落死に続き、2007年2月16日には愛知県蒲郡市でタミフルを服用した中学2年の女子生徒が自宅マンション10階から転落死しました。さらにわずか10日後の2月27日には、宮城県仙台市で男子中学生がタミフル服用後にやはり転落死しました。
その後、ようやく10歳代には原則禁忌となり、さらなる調査研究がなされ、タミフルそのものの危険性が判明することを期待しておりました。
「新型インフルエンザ」の死亡や重症化とタミフルの関係を調査願います
今年(2009年)4月19日に、「タミフルとの関連を否定できない」との発表があり、副作用解明に向けて更なる研究がなされるものと期待したのも束の間、いわゆる「新型インフルエンザ」で、タミフルの害が忘れ去られ、10歳代にさえ、どんどん使われています。
そこで、本年6月12日、「今度こそ、今冬のインフルエンザシーズンで再び被害者が出ることのないよう、強く要望いたします。」と念を押したのですが、やはり省みられることなく、例年より早いインフルエンザの流行のために、タミフルの使用は拡大しています。
それとともに、いよいよタミフルによる突然死の被害者が何人もでています。
つい先日亡くなった3歳の男の子は、受診して後タミフルを服用して、親が気づいたら呼吸停止していたというものです。会員の子の症状とそっくりです。
また、4歳の子は、タミフルを服用後に、多呼吸が出現して、顔色が悪くなったので受診し、さらにタミフルを使用した2時間後に呼吸障害と低酸素血症を起こして他の病院に転院してICU治療、人工呼吸器装着を装着されたけれど翌日死亡されました。この子の症状も、会員の子の症状とそっくりです。この時タミフルを中止していたら、死亡することはなかったはずではないかとの疑念を消すことができません。
死亡・重症化だけでなく、重度の障害もタミフルによるものと思われます
呼吸抑制による突然死を免れたとしても、このときの酸素不足のために脳症を起こし、重度の障害が残ってしまった子が会員の中にいます。
したがって、今期のインフルエンザでも、死亡はしなかったけれども、人工呼吸器の治療を受けた方の中には、重度の障害を残した方がいるのではないかと大変心配をしています。こうした方がどの程度おられるのか、徹底した調査をお願いしたいと思います。
「呼吸抑制」や「突然死」、「重度障害」が添付文書に記載されていません
4歳の子は、呼吸障害で再度受診した医療機関で、こともあろうに、どうしてまたタミフルが使用されたのでしょうか。これは、とりもなおさず、国が「呼吸抑制」や「突然死」とタミフルとの因果関係を否定し続けているからです。
すでに、医師からの報告も含めて60人を超える突然死が明らかになり、詳しい論文も出ているにもかかわらず、添付文書には、「呼吸抑制」や「突然死」という言葉すら出ていません。
そのために、「多呼吸」や「顔色が悪くなった」原因がタミフルであるという判断が医師にはできなかったのではないでしょうか。
私たち薬害タミフル脳症被害者の会は、それぞれ被害救済制度に救済を求め、会を結成以来、異常行動と突然死との因果関係を認めていただくようにと、主張し続けてきました。
タミフルで突然死する危険性については、2005年2月にすでに浜医師が警告しておられます。それ以来、浜医師は、ずっと異常行動だけでなく、突然死についても因果関係があることを科学的に解明され、訴え続けておられます。
にもかかわらず、先の政権下では、どうしても因果関係が認められなかったのです。
異常行動についても、「関連が検出できない」「否定できない」では、今以上の規制はありえません。「10歳代は原則禁止」の措置を外すことはもってのほかですが、さらに踏み込んで「因果関係」を認め、「呼吸抑制」「突然死」「重度障害」の害とともに警告しなければ、タミフルによる薬害の拡大は確実です。
脳症も感染も防止しないタミフルをなぜ推奨するのですか
異常行動や呼吸抑制、突然死との因果関係を認めるよう、私たちが繰り返し要望しているにも関わらず、むしろタミフルの使用を推奨している現状は、放置することができません。
4月19日の報道で「深刻な異常行動否定できず」とされましたが、それさえ全く省みられなくなり、赤ちゃんから老人、果ては妊婦さんにまで推奨され、インフルエンザに罹っていない人には予防のために用いるべきと、とうとう健康そのものの人々までもがタミフルの処方対象にされてしまいました。
しかし、感染は予防しませんし、横浜市立大学医学部小児科の横田俊平医師も指摘しているように、脳症を予防することすら、証拠はなく、否定的であるのです。ふだん健康な子には不要で、脳症をも予防せず、妊婦や糖尿病などハイリスク者ほど、かえってタミフルが危険であるといわれます。
それなら、タミフルは全く使い道がなく、ただ害があるだけではないのでしょうか。危険なだけのタミフルをなぜ推奨するのでしょうか。
妊婦への使用規制を強化すること
NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)の指摘では、妊婦にタミフルを使用した場合、流産や胎児死亡、新生児死亡が増える危険性があり、妊婦自身に対しても危険の可能性があるとのことです。
日本産婦人科医会が妊婦への使用奨励をしたことは危険であるので、従来以上に、妊婦への使用は規制されるべきだと考えます。
医薬品被害救済制度はスモン薬害問題を受けて設立されたもの
2008年2月7日、タミフル服用後に異常行動死した岐阜県の男子高校生=当時(17歳)=の遺族が、タミフルの副作用を否定する判定をした厚生労働省所管の独立行政法人医薬品医療機器総合機構(機構)に慰謝料100万円の支払いを求めた訴訟の第1回弁論で、機構側は、救済制度が「健康被害の防止を直接の目的としたものではない」と主張されました。
しかし、医薬品被害救済制度はスモン薬害問題を受けて設立されたものであり、薬剤との因果関係を認めて早期に被害者を救済することで、副作用被害・薬害の防止につなげようとしたものです。機構が本来認めるべき因果関係を認めないことが、どれほど薬害の拡大につながっているかを考えていただければ、認めるべき因果関係を認めたうえで被害救済を行うことは副作用被害、薬害の防止につながるものであることがご理解いただけると思います。
また、機構は、副作用情報を収集しています。副作用情報の収集は、まさしく副作用被害、薬害の防止を目的としたものではないでしょうか。したがって、副作用被害救済制度とともに、機構は、副作用被害の防止のために存在する組織であり、副作用による健康被害の救済だけにとどまらないのは明らかです。
薬害防止の第一歩として、早急にタミフル脳症の被害の拡大防止に向け、因果関係を認め、被害救済されるよう、望みます。
放置は対策を取らないことと同じ
昨年(2008年)1月15日以降、舛添前厚生労働大臣は「不退転の決意で薬害再発防止に取り組む」と明言されながら、タミフルについては因果関係さえ認めることなく、「薬害タミフル脳症」を放置されたまま、政権交代によって退任されました。
タミフルに関しては、先の政権での判断がいまだにそのまま踏襲され、過去の薬害とまったく同様の過ちが現在なお進行中です。
先の政権で積み残した過ちは多岐にわたり、改革を一気に進めるのはなかなか困難とは存じますが、タミフルによる呼吸抑制と突然死、重度障害について、もうこれ以上放置することは、猶予ならない事態にきていると思います。
このまま放置し、被害が拡大する事態になれば、先の政権下から引き続き担当している医薬食品局長、審議官、安全対策課担当者、中外製薬、安全対策調査会委員、参考人、基礎および臨床作業班の各委員、横田班および廣田班の代表ならびに各班員の責任はもとより、現在の厚生労働大臣や副大臣、政務官の方々についても、その責任は非常に重大となってくると存じます。
私たちは、事態によっては、被害の拡大を防止し、被害者の被害救済を求め、関係者に対する法的措置を取らざるを得なくなると考えております。
ぜひとも、適切な対応をお願い申し上げます。
タミフル薬害の解決抜きに薬害再発防止は不可能です
昨年1月15日、薬害C型肝炎の和解基本合意書調印式において、前厚生労働大臣は「薬害は二度とあってはなりません」「医薬品行政の見直しに取り組み、再発防止に向けた具体策を検討してまいります」と明言されました。
薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会において、山井政務官は、薬害肝炎問題が政権交代を後押ししたので薬害再発防止は重要と考えている、との趣旨の発言をされました。
これまでの要望書で繰り返し申し上げてきましたが、薬害の再発防止、医薬品行政の見直しは、「タミフル」による薬害の防止を棚上げしてはありえません。
タミフルで多くの被害者が出ているにもかかわらず、有効な対策がとれないようでは、薬害の再発防止はあり得ず、今後とも日本で薬害は必ず繰り返されていくでしょう。
それどころか、突然死との因果関係を全く認めないまま、「新型」と称してインフルエンザに多用している現状を放置すれば、さらに薬害が拡大し、タミフルによる突然死や異常行動で尊い命が奪われることは間違いありません。
タミフルによる呼吸抑制と突然死、重度の障害、異常行動による事故死などとの因果関係を速やかに認め、下記のことを速やかに実施されますよう、強く、切に要望いたします。
私たちはずっと同じことを要望しております。なぜなら、実現されないからです。これ以上被害者が出ることのないよう、強く要望いたします。
記
1. 横田班および廣田班の調査結果をはじめ、基礎、臨床ならびに疫学調査、予防目的の臨床試験も含め、正しく解析し直すこと
2.呼吸抑制や、睡眠中などに生じる「突然死」、低酸素性脳症による重度障害、ならびに、異常行動、異常行動による事故死などとタミフル使用との因果関係を認めること
3.タミフル使用後には、呼吸抑制から睡眠中などに「突然死」を生じうること、また、低酸素性脳症による重度障害が生じうること、ならびに、異常行動、異常行動から事故死が生じうることを緊急情報として医療関係者ならびに国民に広く確実に警告すること
4.タミフルの添付文書を早急に改め、上記2.3.について「警告」欄に記載 すること
5.妊婦への使用を禁忌とすること
6.2006年7月に医薬品医療機器総合機構が不支給等の決定を行ったタミフル服用後の死亡例に関して、タミフルとの因果関係を認め、不支給決定を速やかに取り消すこと
7.タミフル以外の薬剤による死亡と判定した死亡例に関しても、タミフルとの因果関係を認め、認定理由を変更し、訴訟での抗弁を取り下げること
8.現在医薬品副作用被害救済に申請されているタミフル服用後の死亡例など副作用被害例に関して、その因果関係を認め、速やかに支給の決定をすること
9.今期のいわゆる「新型インフルエンザ」経過中に死亡あるいは重症化した方の中に、タミフルが原因と見られる被害者が多数に上るため、それら被害者を発見し、連絡し、速やかに被害救済をすること
私たちは今回、潜在被害者が多数に上ることが判明しましたので、そのことも追加いたしましたが、それ以外はずっと同じことを要望しております。
なぜなら、これまでの要望は、まったく実現されないからです。今度こそ、認めていただけますよう、また今シーズンは、これ以上被害者が出ることのないよう、強く要望いたします。
以上
これまでの要望書リスト
1.2006年7月19日
タミフルとタミフル脳症(注)およびそれに伴う死亡との因果関係を認め、その害を広く国民、医療関係者に知らしめ、副作用被害者を全員救済すること。
2.2006年11月17日
タミフルと死亡との因果関係を認め、適切な安全対策と被害救済の公正な判定を求める要望書
3. 2007年2月21日 タミフルに関する適切な対処を求める要望書
1. 異常行動、異常行動による事故死、ならびに睡眠中の突然死などとの因果関係を速やかに認めること
2.タミフル使用後の異常行動や異常行動による事故死例はタミフルによる可能性が強いことを、緊急情報として医療関係者ならびに国民にあまねく確実に警告すること
3.タミフルの添付文書を早急に改め、上記2を「警告」欄に記載すること
4.2006年7月に医薬品医療機器総合機構が不支給等の決定を行ったタミフル服用後の死亡例に関して、その因果関係を認め、不支給決定を速やかに撤回すること
5.現在申請されている医薬品副作用被害救済に申請されているタミフル服用後の死亡例など副作用被害例に関して、その因果関係を認め、速やかに支給の決定をすること
4.2007年3月19日
医薬品医療機器総合機構の不支給決定に取り消しを求める意見陳述
5.2007年3月19日
関連企業から多額の利益供与を受けた2名(横田、森島両氏)の厚生労働省研究班からの除外を望む要望書
6.2007年3月27日 タミフル服用後の副作用被害の救済等について
医薬品副作用被害救済制度の理念(総合機構法第三条の規定とその背景にある考え方)により、幅広く救済するという観点が判定の前提となることをふまえ、明らかな他原因がない場合すべて救済すること。など
7.2007年12月3日
タミフルと突然死・異常行動との因果関係を早急に認め、適切な対処を求める要望書
8.2008年2月14日
タミフルと突然死・異常行動との因果関係を早急に認め、適切な対処を求める要望書
9.2008年7月27日
タミフル(リン酸オセルタミビル)と突然死・異常行動との因果関係を認め、被害者全員の救済を求める要望書
10.2009年6月12日
タミフル(リン酸オセルタミビル)と突然死・異常行動との因果関係を認め、被害者全員の救済を求める要望書