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2018年12月24日 インフル「処方しないのは医の倫理反する」「大半は不要」
インフル「処方しないのは医の倫理反する」「大半は不要」
意識調査「インフル患者に抗インフルエンザ薬を処方しないことは?」◆Vol.3
2018年12月24日 高橋直純(m3.com編集部)
Q インフルエンザ治療と検査のあり方についてご意見があればお願いします。
・ 「原因の分かっているカゼ」にすぎないことを行政が広く知らしめることが必要。その際に、製薬業界に強力なメッセージが必要ではあるが。【勤務医】
・大半は抗インフルエンザ薬は不要なのは理解しているが、院内感染させると病院が叩かれまくるから、検査しない投薬しない選択肢は選べない。【勤務医】
・まずインフルエンザワクチンのコストパフォーマンスが良いのか再考してほしい。ワクチン集団感染のエビデンスがはっきりしないこと、治療が必ずしも必要でないことを啓蒙してほしい。こぞってワクチンだの治療薬だのオイルショック・米騒動みたいなことになるのは日本人の悪いところ。医療者のくせにいまだにワクチン打ってないから罹患したなどと戯言をいう輩がいるのも改善すべき。【勤務医】
・夜間・休日の救急時間帯に検査技師が常駐している理由は、あくまで輸血業務のためであり、一度ミスが起こると病院の存続にも関わる大問題となる。このため、夜間・休日にインフルエンザキット診断は安易にすべきではない。全員にキット診断をしている同僚がいるが、輸血対応・緊急手術対応と重なるとインフルエンザの診断だけで2時間待ちとなる。当然、待合室は人であふれかえっており、正直アホか?と思う。入院が必要そうな患者のみに留めるべきだ。「インフルエンザじゃないと欠勤できない」などという患者に対しては、症状診断で十分と説明している。【勤務医】
・インフルエンザは患者本人だけでなく、周囲に伝播し得る疾患である以上、早期に診断して迅速に対応することが重要。インフルエンザ以外の明確な感染源がある場合を除いてはできるだけ実施した方がよい。検査は侵襲もなく減るものではない。感染初期の感度向上がこれからの課題。【勤務医】
・早くつらさが良くなる薬があるのに、検査や処方を留保するのは、医の倫理に反するのではないか。【開業医】
・パターン化されている、つまらない。多くのインフルエンザの患者さんの中に別の疾患の患者がいないか探すし見付けることが、楽しい。【開業医】
・検査も治療も基本的に必要はないと思うが、患者の意識がそのようになっていない。検査・治療を行わなければクレームにつながるために、やむを得ず検査・治療を行っているのが現状である。ワクチンすらも本来は必要ないと思う。【開業医】
・検査についてはある程度は許容できるが、投薬についてはかなり過剰であると感じている。厚生労働省がもう少し医師の処方に介入するべきである。【勤務医】
・インフルエンザは臨床症状で判断するが、患者さんの納得のため検査は必要と思われる。【勤務医】
・基本は臨床診断と対症療法。ハイリスクでなければ検査や抗ウイルス薬は不要。【勤務医】
・日本の妊婦死亡率が米国よりずーっと低かったことを忘れずに、現状を継続したい。【勤務医】
・検査はあくまで診断の一助であること、抗ウイルス剤を使用しなくても本来は99%治癒の転機をたどる疾患であることを患者に十分説明して、診療に当たっている。【勤務医】
・「正しい」医療はそれこそお偉い先生方に任せます。われわれ町医者は、正しくなくても患者が満足する医療をやるしかない。でないと仕事が滞るし、患者もわれわれ医療側も心から幸せになれません。人は全て話せば分かると思ったら大間違い。話しても分からない人の方が実は多いんですが、立派な患者さんだけ診ていると、そういう皮肉な現実に気づかなくなるのでしょうか。そもそも人は死ぬ時は死ぬのだし、どっちへ転んでも大差ないなら、その場が幸せな方が良いと思いますが、間違っていますでしょうか?【勤務医】
・検査は必ずしもなくても、周囲の感染が確認できて症状がインフルエンザ様であれば処方してよい気がします。受診のためにうろうろする方が感染拡大の観点では好ましくありません。【勤務医】
・疑わしければ検査はすればよいと思う。主観的にはインフルエンザは風邪よりもつらかったので、適切なタイミングで投薬しあとはしっかり療養してもらうことが一番良いと思う。【勤務医】
・病院を休む、学校を休むに当たって、医師の診断書を発行してもらう必要があります。口頭でOK、という社会であればそれでいいでしょうが、一般には、何らかの「証拠提示」が求められます。迅速キットは相手を納得させる力がありますし、インフルに関する証明書が発行不要である以上、その陽性写真、もしくは医師のメモ程度でよいと思います。治療をしなくてもいいでしょうが、治療もしない、何もしないで後々長引かせてしまう、という指弾を恐れています。また、窓口での支払い対価が、医師との話し合い……は一般的ではないでしょう。何かを期待する相手をがっかりさせると、それだけ大きな後悔と恨みをかうことになるかもしれません。【勤務医】
・昔は、インフルエンザ迅速検査の必要性や限界(感度・特異度の問題)、抗インフルエンザ薬の必要性等について時間をかけて説明していました(特に健康なお若い方)が、時間がかかるので止めました。【勤務医】
・インフルエンザの診断が付いて、説明をした上で、抗ウイルス薬なしで帰る人は、100人に1人くらいだろうか?全くいないわけではないが、現実的には難しい。忙しい外来の中で、その説明をする手間や時間ももったいないと思うことがある。【勤務医】
・ハイリスク群でなければ基本的に抗ウイルス薬は不要と考えている。迅速検査が唯一の診断基準と、世間で思われているようで啓蒙が必要。【勤務医】
・国全体として、インフルエンザを意識しすぎている。流行りやすいウイルス性上気道炎の一種でしかない。入院適応の重症例では、インフルエンザ合併の検査を行う方がよいが、感冒症状の外来患者は、そもそも抗インフルエンザ薬を処方不要なら、インフルエンザ迅速抗原キットも不要。それが当然と思われるような社会に変わるまで時間を要するだろう。【勤務医】
・ハイリスク患者にしか抗インフルエンザ薬を投与しないというのはかわいそうな気がします。体感的に、インフルエンザは普通の風邪とは比較にならないくらいキツイので。【勤務医】
・毎年感度の低い迅速検査を行い右往左往しているだけで、感染蔓延の予防がなされていない情けない現状を改善すべきと思います。【勤務医】
・インフル検査だけなら検査薬を近所の薬局で市販して、自宅や近所の薬局レベルで可能にしてほしい。インフル流行期は病院がどこも患者であふれている印象がある。【勤務医】
・あまり症状の重篤でないインフルエンザ罹患患者は、抗インフルエンザ薬を使うかは、本人と相談して決めています。高熱が出ている患者は、やはり抗インフルエンザ薬使用後24時間程度で解熱するため、使っています。インフルエンザの流行時期は、風邪かなと思っていても、平熱でもインフルエンザということがあるので、検査をせざるを得ません。本人が拒否すれば別ですが。【開業医】
・風邪だと無理をしてでも勤務を続け、インフルだけは特別扱いの風潮が馬鹿げているよね。検査でインフル陽性となると、まるで鬼の首でも取ったようになる。なんだかなあと溜息が出る。【開業医】
・罹患すれば分かるが、使用しないで耐えろというのは酷。検査も、周辺への感染拡大防止のため、疑わしい例には使用すべき。【開業医】
・今のままで良いんじゃないですか。検査も、治療方法の選択も、主治医の専権事項で。第三者がとやかく言うのもね…。最近、主治医の専権事項がどんどん減らされているようで、閉塞感が半端ないです。【開業医】
・ウイルスが増殖する前(発熱する前、検査キットで陽性になる前)に治療するのが一番効果的である。わざわざ陽性になるまで待ってから服用するくらいなら、フライングでも良いから使用するほうがマシ。もしインフルエンザでなかったとしても、周りにインフルエンザ患者がいれば予防的投与になる。だから、検査しないで予防的投与としてタミフルやリレンザを自費で希望する人はいる。もっとも、自己治癒力があれば、何もせずに寝て我慢していても治る。苦しいのを我慢して治るのを待つか、発症する前に治療するかは本人次第。【開業医】
・重症化する可能性の高いもののみでいいはずだが、話しても結局抗インフルエンザ薬を希望されることばかりのため、この頃は軽くだけ抗インフルエンザ薬が不要であることをお話しし、それでも希望してそうな人には出しています。【勤務医】
・検査なし、処方なしでも個人的には良いのだが、今までのプラクティスで、検査しないんですか?と患者と看護師から言われる、検査陽性で処方なしだと、薬局から処方がありませんが、と電話が来る。いちいち対応するのが面倒なので、検査して処方することになってしまう。【開業医】
・ゾフルーザやイナビルのような1回投与は患者の服薬コンプライアンスが上がる一方、ウイルスがまだ残った状態なのに治ったと勘違いして外出してしまう事例が多々あるので、パンデミックを避けるためにも投与後数日間は出歩かないよう患者教育が必要だと感じる。【薬剤師】
・院内感染予防目的で、流行期の風邪症状時は患者も職員も迅速検査をしている。結構費用がかさむので、悩ましいところである。“流感”なんだから、家でおとなしくしていてほしいのに、一般人の警戒心の薄さにあきれている。【看護師】
・検査が存在する状況では、会社勤め人など社会的立場を考えて検査せざるを得ないと考えます。治療薬は症状の重症度によって漢方のみ、カロナール使用、抗ウイルス薬など使い分けるのが大切と考えます。【勤務医】
・申し訳ないが、感冒症状で来院する人には、自分のためにも他の患者さんのためにも一刻も早くお帰りいただきたいので、咽頭痛・熱発の時点でキット使用し、結果だけ見てイナビルかタミフル処方してしまっています。新型インフルエンザが話題になった時にアメリカにいましたが、アメリカの病院ではホームページにデカデカと「〜の症状の人はインフルエンザの疑いがあるので決して病院には来ないように。薬は効果なく、他の人にうつすだけ。タイレノールを薬局買って内服し、1週間安静にしていれば治る」と書いてありました。日本もいい加減、医師会主導でそのような国民教育をするべきだと思います。それができない限り、医師会は所詮開業医利益誘導のえせプロ団体という認識です。【勤務医】
・「放置しておけば治る」という意見もあるが、パンデミックを防ぐために早期治療が必要と考えられる。しかし、ゾフルーザほど高額な薬で治す必要もないかもしれない。個人的にはタミフルのジェネリックが最適と考えている。【勤務医】
・検査をしてインフルエンザと診断することの最大の意義は、診断書にインフルエンザと書くことで仕事や学校を休むことができるようにすることだと思います。逆に、医学的にインフルエンザと診断して抗インフルエンザ薬を使用する必要がある人たちは、非常に限られていると思います。ただの風邪でもしっかりと休暇を取得し、休めるようにすることが重要なんではないでしょうか。【勤務医】
・全く無症状のインフルエンザが存在する。兄弟がインフルエンザなので調べてほしいという親の強い希望で検査すると、意外に陽性と出る。もちろん、治療はしない。【勤務医】
・インフルエンザの検査キットやタミフルなどの薬は、一般薬局で販売すべきだと思う。インフルエンザの診療に医療機関は無駄な時間を掛けていると思う。肺炎や脳症や心筋炎など重篤な合併症を来たした症例のみを診療すべきです。【勤務医】
・小児科をしていると、出席停止に関わることなのでシーズン中の発熱患者はほぼ全員きちんと迅速検査をする必要がありますし、また、出席停止期間を長引かせないために抗インフルエンザ薬もしっかり使用しています。【勤務医】
・検査については、インフルエンザを疑えば、行います。フジフィルムの感度の良いキットを使うこともあります。治療については、患者さんの症状によると思います。小児科医なので、インフルエンザと診断した場合には、異常行動の可能性について、必ずお伝えしています。【勤務医】
・インフルエンザ迅速診断キットは市販してほしいです。このための夜間救急の受診が減り、医師の負担、医療費が軽減されると思います。【勤務医】
・働いている核家族達が、子供を早く通学復帰させたいために、開業医に治癒証明書を書かせて周囲に感染させまくる。風邪症状が軽くなっても完全に治るまで外出させないでほしい。内科小児科しか儲からない嫌な季節になりました。【開業医】
・海外では治療薬が不足しているとのことですが、致死的にもなり得る疾患であり、増産することで安価に供給することはできないものかと思っています。もし海外の分を日本が取り上げて不足を招いているのなら、公平性の観点から使用を制限すべきですが、その場合には一定の基準が必要で、恣意的に現場に任せるべきではないと思います。【勤務医】
・診断と治療はお国が定めた費用対効果の問題であり、実臨床では診断したら出しているcaseが多いのではないでしょうか。国の指針との相違は内科学会や医師会などの大きい組織が国に提唱しなければ変わらないと思います。【勤務医】
・病院の方針で、原則、迅速検査はしない、抗インフルエンザ薬を処方はしないことになっていて、それは正しいと思うのですが、職員が罹患した場合は、迅速検査も抗インフルエンザ薬も使用する状況に矛盾を感じています。【勤務医】
・志のあった若かりし頃は、一人一人に抗インフルエンザ薬の目的と使用しない意義を説明していましたが、心が折れた現在では、悪いと知りながら全例に無意味な迅速検査をして無駄な抗インフルエンザ薬を投与しています。もう国が制限しないと適正医療は無理でしょう。【勤務医】
・何度かM3でも持論を書き込んだことがありますが、個人的には抗ウイルス薬を使うことは獲得免疫の低下とのトレードオフと考えています。昨今のインフルエンザ狂想曲とでもいうべき冬の外来は、過剰検査もあると思いますが、抗インフル薬の使いすぎで獲得免疫が落ちているのも一因ではないかと想像しています(タミフルでIgA産生低下の報告あり)。ゾフルーザなどウイルス増殖そのものを押さえる抗ウイルス剤はさらに危険かと。 学会が主導してガイドラインを作るべきかと。【開業医】
・今は検査部にいるので……。検査が増えた法がいいので、少しバイアスがかかることをお断りしておきます。元呼吸器科医としての意見。インフルエンザが流行っているときは、症状だけで迅速検査はしなくてもよい。検査結果がすぐ出ると言っても時間が惜しい。迅速検査は、偽陰性も偽陽性もある。症状でインフルエンザのつもりでいるのに陰性だと、判断に迷う。結局当初の自分の診断に従うであろうから、かえって面倒だ。陽性なら当然だが、それなら検査の意味なし。さっさと治療に取りかかった方、効率的だ。流行っていない時で診断に迷ったときは、役に立つかも。ただ今どきの患者は、検査を要求してくることがあって、いちいち「必要なし」との説明をするのも……。こういう時は抵抗しないで、”検査なんか「必要ないけどね。高くつくよ」等と言いつつ、検査やっちゃう。検査部の成績にもなるし。だいたい、治療にしても、抗インフルエンザ薬が必ず必要だとは思わない。治るわけじゃなし。症状が1日ばかり短いぐらい。ただ年寄りなど、重症化しそうな人には、あとで「検査もせんかった」「薬もくれんかった」とクレームが付くから、さっさとやっちゃう。日和見主義者。【勤務医】