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2010年06月01日 大衆薬 苦戦の1年 薬剤師不足も一因に

 昨年六月一日の薬事法の改正から一年が経過した。改正には消費者が一般用医薬品(大衆薬、OTC)を安心して購入できるようにし、国の医療費を抑制する狙いもあったが、副作用のリスクが高い薬の販売規制の強化で、逆に大衆薬の売上高は減少した。製薬業界に大きな変化をもたらした薬事法の改正。この一年を振り返った。 (須藤恵里)

 「大変に計画が立てづらい一年だった。特に下期は経験したことのない(大衆薬販売の)落ち込みだった」

 大衆薬最大手、大正製薬の堀田尚孝副社長は、五月半ばに開いた二〇一〇年三月期決算発表の席上、曇った表情で〇九年度を振り返った。

 薬事法の改正で薬剤師による対面販売が義務付けられた、リスクの高い薬(第一類医薬品)の売り上げは低迷。新型インフルエンザの流行で大衆薬から病院に患者が流れたことも加わり、第一類では主力の風邪薬「パブロン」や、抗アレルギー成分配合の目薬の売り上げが落ち込んだ。

 第一三共ヘルスケアも、第一類の胃腸薬「ガスター10」、顔などのしみを改善する飲み薬「トランシーノ」の売り上げが四割近くも減った。

 背景には、第一類医薬品の取り扱いをやめるドラッグストアなどが相次いだことがある。改正薬事法は第一類の販売に薬剤師が書面を使って効能・効果や副作用などを詳細に説明することを義務付けた。薬剤師の人件費増を嫌う一部のドラッグストアなどは第一類の販売を停止。一方、薬科大学の六年制移行に伴い、今春と来春は留年した学生などを除き新卒者は出ないため、一部の薬局は薬剤師不足に陥った。

 調査会社のインテージによると、昨年六月を境に第一類を扱う薬局・薬店の比率は一割以上も減少。第一類の売上高は法改正以降、前年同月比で二けた減の月が続いている。

 大衆薬市場全体の売上高も前年同月を下回る月が大半で、市場は縮小傾向。販売登録者がいればコンビニエンスストアなどでも副作用のリスクが小さい第二類、第三類の医薬品を販売できるようになったが、市場全体を押し上げる力にはなっていない。

 大衆薬の業界団体、日本OTC医薬品協会の西沢元仁常務理事は「消費者の理解や販売側の対応が、法改正に追いついていない」と現状を分析する。

 自分で選んで買える大衆薬について、薬剤師から説明を受けることを「手間がかかり面倒」と受け取る消費者の声は、まだまだある。

 西沢氏は「新制度が軌道に乗るにはまだ時間がかかる。薬剤師と対話して薬を購入することが当然になれば、安全の担保という法改正の目的が浸透し市場拡大につながる」と指摘する。

<改正薬事法> 処方せんが必要なく、消費者が薬局などで直接買える「一般用医薬品」について、販売制度を大幅に見直した。副作用リスクの程度に応じ三つに分類。リスクが高い第一類医薬品の販売には薬剤師の説明を義務付けた。多くの風邪薬など、リスクが比較的低い第二類や、さらに低リスクの第三類は薬剤師に加え、知事が認めた「登録販売者」も販売ができるようにした。
2010年6月1日

東京新聞

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