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2010年02月05日 タミフル異常行動で機構側の調査不備認めず 岐阜地裁
2004年にインフルエンザ治療薬タミフルを服用してから異常行動で死亡した岐阜県内の男子高校生=当時(17)=の父親(52)が、副作用被害を認定する独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(東京)に100万円の慰謝料を求めた訴訟で、岐阜地裁は4日、原告の訴えを棄却した。
父親は「死亡直前に飲んだタミフルとの関係に触れていないのは不自然。因果関係が明らかになれば、同様の事故を防げると考えたのに信頼を裏切られた」と主張。
機構側は「救済制度は事故の防止を目的としていない。副作用の判定は厚生労働大臣が決定するものであり、機構職員によるものではない」と棄却を求めていた。
判決で野村高弘裁判長は機構側の主張を採用し、「原告の権利侵害は認められない」と認定。タミフルが異常行動につながった可能性については「否定できない」としたが、「(インフルエンザ薬の)シンメトレルを原因としたことは不合理ではない」とし、機構側の調査不備を認めなかった。
訴状によると、男子高校生は04年2月5日昼すぎにタミフルを服用。3時間半後に自宅外へ飛び出してトラックにはねられ死亡した。父親は薬の副作用による異常行動と考え、同機構に遺族一時金などの救済給付を申請した。同機構は給付を決定したものの、5日朝に飲んだシンメトレルの副作用による自殺と判定。父親は「不合理な判定で精神的苦痛を受けた」として、07年に提訴していた。
同機構によると、タミフルが絡むと疑われた薬の副作用による遺族一時金と年金の給付申請はこれまでに計15件あるが、タミフルとの因果関係を認めて給付した例はない。
【タミフルと異常行動】 子どもが服用後にマンションから飛び降りる事例などが相次いで2005年末ごろ問題化した。厚生労働省によると、服用後の異常行動は、昨年3月末時点で353件(うち死亡8件)報告されている。これとは別にタミフル服用後に突然死した例も14件報告されている。ただ同省の調査会は昨年6月、インフルエンザ自体が異常行動を起こさせるとして、タミフルとの因果関係を「不明」とした。その上で、353件のうち45%を占める10代の使用について「原則禁止が適当」との検討結果を出している。
2010年2月4日 14時04分