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2010年01月06日 仏政府の新型インフルワクチン発注取り消し、製薬会社に打撃か

 [ロンドン/パリ 5日 ロイター] 仏政府が新型インフルエンザ(H1N1)ワクチンの発注分の半分以上を取り消す決定をしたことで、新型インフルエンザの流行による製薬会社の収益が予想よりも少なくなるとの懸念が台頭している。
 新型インフルのワクチンについて、当初専門家は1人につき2回の接種が必要としてきた。しかし今は大人は1回の接種で十分とされている。さらに国民全員が接種を受けることの必要性に対し懐疑的な見方が出てきていることから、欧州全体で新型インフルエンザワクチンの需要は低減している。

 仏政府は4日、製薬会社に発注した接種9400万回分のワクチンのうち、半分以上にあたる5000万回分の発注を取り消すことを目指すと発表した。発注先はサノフィ・アベンティス(SASY.PA: 株価, 企業情報, レポート)、グラクソ・スミスクライン(GSK.L: 株価, 企業情報, レポート)、ノバルティス(NOVN.VX: 株価, 企業情報, レポート)、バクスター・インターナショナル(BAX.N: 株価, 企業情報, レポート)。

 仏政府広報官は5日、サノフィ・アベンティスのワクチン部門、サノフィ・パスツールに対し900万回分のワクチンの発注をすでに取り消したことを明らかにした。他の製薬会社とも発注取り消しに向け交渉しているという。

 12月にはドイツ、スペイン、スイスの各政府からも、国内需要が当初ほど高くなかったことから、納入量を減らしたり、過剰な在庫を製薬会社に返還したり他の国に売るなどする動きがみられた。

 モルガン・スタンレーのアナリストは、仏政府によるワクチン発注の取り消しは、新型インフルエンザワクチンの需要が低下していることをあらためて示しており、サノフィ・アベンティス、グラクソ・スミスクライン、ノバルティスの短期的な業績に若干リスク要因となると指摘。また「長期的には、新型インフルエンザワクチンの供給が明らかに過剰となっていることで、世界的な大流行を引き起こすインフルエンザに関連する収入増が限定される」とした。

 2009年半ば以降、各国政府が新型インフルエンザワクチンの確保に動いたことで、製薬会社は予期せぬ恩恵を受けた。製薬業界担当のアナリストによると、中でもグラクソ・スミスクラインが最も恩恵を受け、2010年第1・四半期末までの売上高は約35億ドルに達するとみられている。サノフィ・アベンティスは約10億ドル、ノバルティスは6億ドルの売り上げとなる見通し。

 欧州各国で発注取り消しが相次いでいるものの、世界の他の地域からの需要は依然として強いという。サノフィ・パスツールの広報担当者は「これまでに供給してこなかった国から追加注文が入っている」と述べた。ただ、具体的にどの国がサノフィのワクチンに興味を示しているかは明らかにしなかった。
2010年 01月 6日 06:22 JST

ロイター

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