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2009年12月09日 ロシュのタミフル:インフルエンザ合併症予防の効果薄い〓コクラン
12月8日(ブルームバーグ):非営利団体コクラン共同計画によると、スイス製薬大手ロシュ・ホールディングのインフルエンザ治療薬「タミフル」は、健康な成人をインフルエンザの合併症から守ることができない可能性がある。コクランは今回の再調査で、タミフルはインフルエンザ合併症の肺炎や重度の病気予防に効果があるとしていたこれまでの見解を覆した形だ。
コクランが20件の研究結果を分析したところ、健康な成人に対するタミフルの効果は薄く、下軌道感染症やインフルエンザ合併症を防ぐ明確な証拠が示されなかった。今回の調査は2005年に実施した調査の更新版で、ロシュが資金提供した8件の研究の結果については、未公開で十分なデータが与えられなかったとして分析対象から除外した。
コクランの調査責任者、トム・ジェファーソン氏は電話取材で、「インフルエンザ合併症などに関して、タミフルの効能を説明する十分な証拠がないとわれわれは結論付けた」と指摘。「数十億ドル規模の公的医療政策が、入手不可能な証拠に基づいて実施されている」と語った。
世界保健機関(WHO)によると、タミフルは4月以降で約9000人の死者を出した豚インフルエンザ(新型インフルエンザ)の主力治療薬として利用されている。ロシュは今年27億スイス・フラン(約2330億円)の売り上げを見込むタミフルの効能を主張している。