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2009年02月24日 国産インフルエンザ新薬、投入目前 3社が開発競争

 国内製薬会社3社が新しいインフルエンザ治療薬の開発競争にしのぎを削っている。新型インフルエンザの世界的流行が懸念されていることに加え、今冬は現在の主要薬であるタミフルが効かない耐性ウイルスも現れるなど、新薬への期待は高い。早ければ平成22〜23年の冬にも市場投入される見通しで、より患者への負担が軽く、効果も期待できる新薬による治療は間近に迫っている。

 開発がもっとも進んでいるのが第一三共の「CS〓8958」と、塩野義製薬の「ペラミビル」だ。いずれも治験(臨床試験)の最終段階に入っている。

 両薬とも1回の投与で長期間の効果が得られるのが特徴だ。現在、使われているタミフル、リレンザは1日複数回、複数日間、使用し続けることが必要だ。

 このうち、第一三共のCS〓8958はリレンザと同様に、専用の器具を使って薬を吸い込む吸入型。開発担当者は「直接患部に届くため飲み薬よりも即効性が高い。現在までの治験結果には自信を持っている」と話す。

 塩野義製薬のペラミビルは注射薬。インフルエンザへの感染が判明すると、その場で15分間の点滴投与を受け、それ以降の投薬は必要ない。重篤患者や年配者など、自力で薬を飲むことができない人への投与も容易だ。

 両薬ともインフルエンザウイルスが持つ、タンパク質の「とげ」のような部分に作用してウイルスの増殖を防ぐ。この点では既存薬と仕組みは変わらない。

タミフル耐性は、この「とげ」の部分が、タミフルが効かない形へと突然変異して出現したとみられている。タミフルと同じ仕組みを持つ両薬だが、成分の違いなどから、タミフル耐性ウイルスにも効果が確認されている。




 両社に比べると開発段階では1年程度の後れをとるものの、新しいメカニズムで注目されるのが、富士フイルムグループの富山化学工業が開発中の「T〓705」だ。

 先行2社の新薬が、ウイルスが持つ「とげ」の部分に作用するのに対し、T〓705は、ウイルス内に存在する「RNAポリメラーゼ」というタンパク質に直接作用して、ウイルスの増殖を阻害する。そのため、「とげ」の突然変異に左右されない強みがある。

 タミフル耐性ウイルスはもちろん、今後さらに「とげ」が突然変異し、さまざまな薬に耐性を持つウイルスが誕生しても、T〓705は効力を持ち続ける可能性が高い。

 富山化学工業でも「耐性化の問題を含め、重要な薬剤になる」と開発を急いでいる。




 これら新薬は、新型インフルエンザ対策にも期待されている。新型インフルエンザは鳥インフルエンザが変化して発生する可能性が高いとみられている。3社の製品は、鳥インフルエンザウイルスを使った非臨床試験で、いずれも「効果あり」とする結果が得られているという。

 日本のメーカーが開発している点も心強い。厚生労働省は「治療薬の選択肢は多いに越したことはない。日本の製薬会社が開発した国産薬であれば、輸送の手間が少なく、増産もお願いしやすい」と、各メーカーの新薬開発に期待する。

 厚労省は3薬とも、製薬会社と密に連絡を取りながら治験を進める「優先対面助言品目」に選んでおり、7年かかることもある治験を3、4年で終えようとしている。早ければ平成22〜23年のシーズンにも実用化の見通しだ。

産経ニュース

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