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2009年02月01日 タミフルと風邪薬併用でネズミに異常行動 米大教授ら
インフルエンザ治療薬「タミフル」とカフェインなどの風邪薬成分を同時に飲むと異常行動が起きる可能性が高まることを、米ワシントン大学(ミズーリ州)の和泉幸俊(ゆきとし)教授(精神医学)らが明らかにした。ネズミを使った実験だが、和泉教授は「タミフル類と他の風邪薬の併用は避けたほうがいい」と呼びかける。論文は近く米国の専門誌に掲載される。
和泉教授らは、タミフルをネズミに注射し、2時間後にカフェインとエフェドリンを追加注射した。その直後に行動の冷静さを調べる「Y字迷路」というテストをすると、ネズミは落ち着かず、同じ通路に何度も入り込み、行き当たりばったりに動いた。何も注射していないネズミと、タミフルだけを注射したネズミは正常な行動をした。
タミフル後にカフェインとエフェドリンを注射した若い雄ネズミ12匹を観察すると、全匹とも体中にぐっしょり汗をかき、30分以上にわたって跳び上がったりそわそわしたりする過剰な活動をした。うち2匹は、仲間の上に乗るという異常行動を繰り返した。
神経細胞の働きを直接調べる実験では、タミフルが体内で変化した状態の化合物にカフェインやエフェドリンをそれぞれ単独で加えた場合には異常はなかったが、双方を同時に組み合わせると神経伝達に異常応答があった。
カフェインは眠気防止のため市販の風邪薬やドリンク剤の多くに入る。エフェドリンは生薬「麻黄」の主成分で、生薬系の風邪薬に入っている。気付かぬうちに併用してしまう落とし穴に陥る可能性がある。
国立感染症研究所の岡部信彦感染症情報センター長は「大変興味深い。ただ、動物実験の結果はストレートに人間に結びつけられないので、人間での疫学調査も必要だろう。インフルエンザは、病気自体が異常行動を起こすことがある。薬を飲む、飲まないにかかわらず、看病する人は患者の様子を注意して見守ってほしい」と話している。