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2008年10月23日 新薬審議会:委員2割が議決不参加 製薬会社から寄付受け
新薬の承認審査の際、厚生労働省の審議会委員の平均約2割が、審査対象の薬か競合品を作った製薬会社から年間50万円以上の寄付や報酬を受けていたことが、厚労省のまとめで分かった。こうしたケースに法的な規制はないが、審議会が今年3月から審議や議決参加へのルールを定めており、それに沿って8月末までに5回の会議で延べ67人が議決に加わらなかった。
研究者と製薬会社の資金を巡る利益相反は、昨年3月にインフルエンザ薬タミフルの安全対策で問題になった。このため、薬事・食品衛生審議会薬事分科会が、大学教授や国立病院医師らから選任する審議会委員について「過去3年に年間50万円以上の寄付などがあった委員は議決不参加、500万円以上は議場を退出」との暫定ルールを設定。今年3月末からは、関係先の対象を競合企業にも広げて本格運用を始めた。
厚労省が今年度の運用状況を調べたところ、大半の新薬の審査に当たる医薬品第1、第2部会では、8月末までに計32品目の審査があり、延べ376人の委員が出席。このうち本人の申告に基づき、13人が退出、54人が議決に参加しなかった。議決に加わった委員の割合は平均81%で、最も低かったケースでは57%(8人参加、6人不参加)だった。
資金提供は申請した企業より競合企業からの方が多く、今年度も昨年度の暫定ルールが適用されていれば、審議や議決の不参加は29人にとどまり、議決参加率は9割を超える。