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2008年05月20日 福岡の急患診療所 タミフル2倍超処方 他の関係者もミス気付かず 男児おう吐、入院
2008年5月20日 09:04 カテゴリー:社会 九州・山口 > 福岡
福岡市南区の南急患診療所で2月下旬、70代の男性小児科医がインフルエンザと診断した小学2年(当時)の男児(8つ)に適用量の2倍を超え、成人量も上回る抗ウイルス薬「タミフル」を処方したことが19日、分かった。そのまま服用した男児は目まいなどを起こして緊急入院した。医師は「勘違いした」とミスを認めているが、母親からの問い合わせを受けながら他の関係者も気付かないミスが重なった。
市医師会などによると、男児は2月24日午後に高熱を出して来院。男性医師はインフルエンザと診断しタミフルの粉薬を処方した。男児の体重では計3グラムを1.5グラムずつ1日2回服用するのが適用量だが、医師は計7グラムを3.5グラムずつ1日2回飲むよう処方した。成人の適用量(1日計5グラム)も上回る量だった。
男児は以前もタミフルを処方されたことがあったため、薬の量が多いと感じた母親が診療所の職員に確認したが「先生の処方なので大丈夫」と返答された。帰宅後にタミフルを飲んだ男児は、夜になって「目が回る」と訴え。母親は市急患診療センターに電話で相談したが、ここでも担当者は保管していたカルテを確認しながらミスに気付かず、処方通りの服用をするよう指示したという。
翌朝、2回目の3.5グラムを飲ませると男児は再び「気分が悪い」と訴えて吐いたため、別の小児科医院を受診。初めてミスが分かった。男児は市内の病院に緊急入院。薬剤の血中濃度を薄める点滴治療を受け、回復した。市医師会は男児と両親に謝罪した。
市医師会の下村国寿理事(救急医療副担当)は「処方ミスに加え、お母さんの問い合わせにも異常に気付けなかったのは、あってはならないこと。二度と起きないようにしたい」と話している。
診療所は、福岡市が市医師会に運営と診療を委託し、日曜・祝日の日中に内科と小児科を診療。医師会の依頼を受けた当番医2人や看護師らが勤務。原則、医師が薬の調剤をしている。