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2012年01月11日 タミフル効かないウイルス、感染拡大の仕組み解明
神戸大の研究グループは、インフルエンザ治療薬のタミフル18 件が十分に効かない耐性ウイルスが、細胞に侵入する際に働くタンパク質「ヘマグルチニン(HA)」を変異させ、感染を拡大していく仕組みを世界で初めて解明した。耐性ウイルスの世界的な流行予測、ワクチンの開発につながる可能性がある。
11、12日に神戸市で開かれる「新興・再興感染症に関するアジア・アフリカリサーチフォーラム」で発表する。
タミフル18 件耐性ウイルスの割合は、2006〜07年には季節性のAソ連型(H1N1型)の1%以下だったが、07〜08年は約15%、08〜09年には9割以上に拡大した‐という推計がある。
神戸大大学院医学研究科の新矢恭子准教授とギンティン・テリダ研究員らは、耐性ウイルスのHAを構成するアミノ酸のうち、三つのどれかが変異した場合、変異していない場合に比べていずれも増殖能力が10倍以上高いことを確認。HAの変異が感染拡大を支援していることを裏付けた。
新矢准教授は「今後もタミフル耐性ウイルスが流行する可能性はある。HAの変異に注目し、情報を世界に発信したい」と話す。(金井恒幸)
【タミフル耐性ウイルス】 治療薬タミフル18 件の耐性を獲得したインフルエンザウイルスは、細胞から外に出て行く際に働くタンパク質の変異によって、増殖能力は低下すると考えられていた。だが、世界各地で耐性ウイルスの流行が報告され、原因の解明が課題となっている。