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2008年05月07日 ウイルス増殖 仕組み解明 県立大鈴木教授ら発表
県立大はこのほど、薬学部の鈴木隆教授を代表とする研究チームが、インフルエンザウイルス増殖で硫酸化糖脂質(スルファチド)と呼ばれる物質がウイルス増殖のメカニズムに重要な役割を担うことを発見し、米国微生物学会(ASM)のウイルス学専門誌の電子版に掲載されたと発表した。
同チームは鈴木教授のほか高知大、産業技術総合研究所(茨城)、東京都臨床医学総合研究所、中部大(愛知)の研究者で構成。インフルエンザウイルスの「HA」と「NA」の2つの“トゲ”のうち、インフルエンザ薬として知られるタミフルが標的としないHAの機能に着目した。
遺伝子組み換え操作でスルファチドの発現を変化させた細胞を使った実験で、スルファチドがウイルス増殖に必須であることを発見した。マウスの実験で抗体の有効性も確認したという。
鈴木教授は平成17年10月に「スルファチドを標的とした抗ウイルス剤」を特許申請した。高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染やタミフルの耐性株出現が脅威になっており、新メカニズムの解明による新薬開発が期待されるという。